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ゼロントロジイ
老齢学
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《老齢学(ゼロントロジイ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,160 字 · 15 頁
一九〇〇年、即ち明治三十三年における、アメリカ人の平均寿命は、四十七歳であった。ところが、それが四十年後の一九四〇年には、一躍六十三歳に延びている。一九四〇年といえば、今度の太平洋戦争勃発の前年である。ところで、それから二年のうちに、それが更に延びて、一九四二年には六四・八二歳になっている。日独同盟だ、シンガポール陥落だ、ソロモン海戦だと、日本の方では無我夢中になっていた時代の僅か二年間に、平均寿命が一・八二歳も延びているのだから、驚いた話である。
一九三〇年には、アメリカに、六十五歳以上の人間が、六百七十五万人いた。ところがそれから十年後、即ち一九四〇年には、この六十五歳以上の老人の数が、九百万を突破しているのである。この十年間の全人口の増加率は、僅か七・二パーセントであったのに、六十五歳以上の老人の増加率は三四・一パーセントに達している。人間がなかなか死ななくなったという、これくらい顕著な例は、ちょっと世界中にも珍しいであろう。そしてこういう老人たちが、皆ヒマラヤに登れるのだったら、これもまた世紀の一つの奇蹟というべきであろう。それで私も、西洋風の医学と栄養学とを信用することにした次第である。