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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

線上閱讀岩野 泡鳴《耽溺(たんでき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,597 字 · 110 頁

青空文庫

「叔母さん、どう?」

「今のところでは、口がかかっておらない」

「じゃア、僕がけさのお礼として玉をつけましょう」

「それは済みませんけれど」と言いながら、婆アさんが承知のしるしに僕の猪口に酒を酌いで、下りて行った。

三

「お前の生れはどこ?」

「東京」

「東京はどこ?」

「浅草」

「浅草はどこ?」

「あなたはしつッこいのね、千束町よ」

「あ、あの溝溜のような池があるところだろう?」

「おあいにくさま、あんな池はとっくにうまってしまいましたよ」

「じゃア、うまった跡にぐらつく安借家が出来た、その二軒目だろう?」

「しどいわ、あなたは」と、ぶつ真似をして、「はい、これでもうちへ帰ったら、お嬢さんで通せますよ」

「お嬢さん芸者万歳」と、僕は猪口をあげる真似をした。

三味を弾かせると、ぺこんぺこんとごまかし弾きをするばかり。面白くもないが、僕は酔ったまぎれに歌いもした。

「もう、よせよせ」僕は三味線を取りあげて、脇に投げやり、「おれが手のすじを見てやろう」と、右の手を出させたが、指が太く短くッて実に無格好であった。

「お前は全体いくつだ?」

「二十五」

「うそだ、少くとも二十七だろう?」