輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

のうめんのひみつ

能面の秘密

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《能面の秘密(のうめんのひみつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,440 字 · 35 頁

青空文庫

もちろんどこの女中もそれがキマリになっているから案内に立とうとする者もいなくなっていた。乃田家でもそうだ。壁に手さぐりで進むから跫音もなく唐紙をあける。すると奥の部屋から奥さんの声で、

「オツネサンかい」

「そうです」

「ちょっとそこで待っててね」

「ハイ」

誰か人がいるらしい。奥さんはあまり人にきこえないように声を低くしかし力をこめ、

「あなたのあつかましさにはもう我慢できなくなりました。今までに一千万円はゆすっているのですよ。私ももう六十七にもなりましたから名誉ぐらいどうなってもかまいません。もう絶対にお金はあげませんから私の秘密をふれまわったがいいでしょう。第一、窓の外から夜中に戸を叩いてゆするなぞとは何事ですか。さっさと行きなさい」

「あとで後悔しますよ」

窓の外でふくみ笑いしてこう捨てゼリフを云う男の声がきこえた。奥さんが窓の戸をしめたので男は立ち去ったらしい。

――大川さんではないようだ、とオツネは思った。彼は熟睡しているし、男の声は低くてよくも聞きとれないぐらいだったが、大川の声とは違っていたようだ。来客は一人の様子であったが、この邸内にいる他の男と云えば、それは息子の浩之介か庭番の爺やだけだ。