輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
じじょでん
自叙伝
大杉 栄
線上閱讀大杉 栄《自叙伝(じじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,021 字 · 230 頁
僕はその棺箱が焼けて、母の顔か手か足かが現れて出たら、堪らないと思った。それでも僕はじっとしてその炎を見つめていた。
人足どもの一人は急いで僕等兄弟をわきへ連れて行って、すぐ帰るようにと勧めた。もう日も大ぶ暮れていたのだ。そして僕はその場所へ行ったらすぐ帰るようにとあらかじめ言いつけられて来たのだ。僕等はその人足に送られて山の麓まで出て、そこから車に乗って帰った。
二
母の死体がうちへ着いた時に、僕はその棺のそばに、礼ちゃんが立っているのを見た。礼ちゃんも二、三日前から新潟の母のところへ行っていたのだ。たしかその晩だったと思うが、夜遅くなってから、お通夜をするというのを無理やりにみんなに帰れ帰れと勧められてうちへ帰った。そして、高級副官の父のもとにやはり旅団副官をしていた何とかいう中尉の細君が、これはまだ若いそうして連隊じゅうで一番綺麗な細君で、僕は前からずいぶん親しくしていたのだったが、そっと僕の肩を突っついて、しかし高い声で、僕に礼ちゃんを送って行くようにと勧めた。ほかの人達も、それと一緒になって、同じように僕に勧めた。僕は急に胸をどきどきさせながら、ちょっとためらった。