輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
じじょでん
自叙伝
大杉 栄
線上閱讀大杉 栄《自叙伝(じじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,021 字 · 230 頁
「いや、僕ですよ。」
僕は礼ちゃんをかばうようにして一足前へ出て言った。中尉はじっと僕の顔を見つめていたが、
「やあ、君でしたか。これはどうも失礼。僕はまた……いや、これからお宅へ行くところなんです。どうも失礼。」
と、多少言葉は和らげながらも、まだぷりぷりしたような様子で行ってしまった。
「まあ、ほんとにいやな斎藤さん。お酒の臭いなぞぷんぷんさして。」
礼ちゃんはもう大ぶ行ってしまった後ろをふり返りながら呟いた。
「でもきっと、僕等があんまりふざけて来たもんだから、この辺の何かと間違えたかも知れないね。」
僕は少々気がさして言った。僕等が歩いていた西ヶ輪の通りというのは、その裏のお小人町と一緒に、主として軍人をお得意とする魔窟だったのだ。
「そうね。けれど、それじゃあんまり失礼だわ。」
礼ちゃんはまだ多少憤慨しながらも、しかし自分を省みない訳には行かなかった。
二人はしばらく黙って、しかし相変らずほとんど接触せんばかりに引っついて歩いて行った。
「ねえ、栄さん、私お嫁に行ってずいぶんつらいのよ。」
礼ちゃんはしんみりした調子で口を切った。
「どうして?」
「おしゅうとさんがそれやひどいのよ。