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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
線上閱讀大杉 栄《自叙伝(じじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,021 字 · 230 頁
そして僕が五つの時に、父と母とは三人の子供をかかえて、越後の新発田に転任させられた。父はこの新発田にその後十四、五年もくすぶってしまった。僕も十五までそこで育った。したがって僕の故郷というのはほとんどこの新発田であり、そして僕の思い出もほとんどこの新発田に始まるのだ。
もっともその以前東京にいた時のことも少しは記憶している。
家は番町のどこかにあった。門の両側に二軒家があって、父の家はその奥にあった。そして門のそばのどちらかの家に、たしかお米さんという名の、僕より一つ年上の女の子があった。僕はそのお米さんと大仲好しだった。
お米さんはもう幼稚園へ行っていた。僕はまだだった。お米さんは学校で唱歌を教わって来ては、家へ帰って大きな声でそれをおさらえした。歌を何にも知らない僕はそれが癪にさわって堪らなかった。そして向うで何か歌い出すたびに、僕はせい一ぱいの声で、ただ
雨こんこん
雪こんこん
とだけ、幾度も繰りかえしては怒鳴りつづけていた。
が、五つの春から、僕も幼稚園に行くようになった。そして毎日お米さんと手をひいて、富士見小学校へ通った。
しかし、その幼稚園がはたして富士見小学校附属のであったかどうかは、実は断言することができないんだ。