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しぜんのめぐみ
自然の恵み
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《自然の恵み(しぜんのめぐみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,154 字 · 19 頁
これは実は雲の粒なのであって、雪の結晶が降って来る途中で、雲の中を通ると、雲の粒が凍りついてこういう結晶が出来るのである。ここでは雲といったが、霧といっても同じことで、雲と霧とは、本質的にはちがいがない。両方とも直径百分の二ミリ程度の小さい水滴の集まりである。それが空の高いところにあると雲といい、地表近いところにあると霧というだけのことである。
ここで一つ疑問が出るであろう。冬の上空はもちろん零度以下であるはずである。そういうところに水滴の雲の粒があるのは可怪しいと思われるであろう。しかしそれはちっともへんなことではない。氷は零度で凍るはずだと思っている方が、まちがっているのである。学校でもしそういうふうに教わっていたら、それは訂正する必要がある。水は氷とふれ合っていると、零度で凍る。しかし純粋な水だけを、静かに冷やしてやると、零下五度くらいまでは凍らない。充分注意して実験すると、零下二十度近くまで凍らない。特に小さい水滴にして、空中に浮かんだ状態で冷やすと、零下三十七度までは、液体のままの状態でいる。何も不思議ではないので、それが水の性質である。