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はなとひとのはなし

花と人の話

小川 未明

線上閱讀小川 未明《花と人の話(はなとひとのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 3,600 字 · 8 頁

青空文庫

」といいました。

「ほんとうに、あの時分が、いちばん楽しかったですね。風は寒かったけれど、朝晩、日の光は、弱く、悲しかったけれど、そして夜には、霜が降って、私たちを悩ましたけれど、やはり、あの時分がいちばんよかったように思います。」と、丙のアネモネがいいました。

二つのアネモネの話を黙って聞いていた、乙のアネモネは、顔を上げて、

「私たちは、どこへゆくでしょう。どうかかわいがってくれる人の手に渡りたいものですね。おそらく、いっしょにはいられないでしょう。たとえ、もう二度と顔が見られなくても、おたがいにしあわせであればいいのです。けれど、みんなが同じようにしあわせであることはできないでありましょう。」といいました。

そのうちに、人の足音がしました。三つのアネモネは黙ってしまいました。なんとなくおそろしいような、また気づかわれるような気持ちがしたからです。それは、美しい令嬢たちでありました。ぜいたくなようすをしていました三人の令嬢は、店さきに立って、そこにあるいろいろな花の上に、清らかなりこうそうな瞳を移していました。

「あのリリーもいいことよ。」

一人の令嬢が、こういいますと、ほかの一人は、