輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あぢさい
花火・来訪者 他十一篇
永井 荷風
線上閱讀永井 荷風《花火・来訪者 他十一篇(あぢさい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 52,046 字 · 104 頁
今日ではこのアーチの下をば無用の空地にして置く丈けの余裕がなくなって戸々勝手にこれを改造もしくは破壊して了った。しかし当初この煉瓦造を経営した建築者の理想は、家並みの高さを一致させた上に、家毎の軒の半円形と円柱との列によって、丁度リボリの通りを見るように、美しいアルカアドの眺めを作らせるつもりであったに違いない。二、三十年前の風流才子は南国風なあの石の柱と軒のアーチとが、その陰なる江戸生粋の格子戸と御神燈とに対して、如何なる不思議な新しい調和を作り出したかを必ず知っていた事であろう。
明治の初年は一方において西洋文明を丁寧に模倣し奇麗に輸入し正直に工風を凝した時代である、と同時に、一方においては、徳川幕府の圧迫を脱した江戸芸術の残りの花が、目覚しくも一時に二度目の春を見せた時代である。劇壇において芝翫、彦三郎、田之助の名を掲げ得ると共に、文学には黙阿弥、魯文、柳北の如き才人が現れ、画界には暁斎や芳年の名が轟き渡った。境川や陣幕の如き相撲はその後には一人もない。円朝の後に円朝は出なかった。吉原は大江戸の昔よりも更に一層の繁栄を極め、金瓶大黒の三名妓の噂さが一世の語り草となった位である。