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あぢさい
花火・来訪者 他十一篇
永井 荷風
線上閱讀永井 荷風《花火・来訪者 他十一篇(あぢさい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 52,046 字 · 104 頁
百日の説法屁一ツの譬、失敗ほど滑稽なものはない。同時に成功ほど内容の空虚な馬鹿馬鹿しい事はない。
何れの民族にもせよ、其処に発生した一代の文明の究極する処は人心の廃頽衰微であろう。次第に老い行く欧洲近世の文明が仏蘭西に詩人ボードレールを生んだ如く、東洋の江戸文明は夙に通人戯作者俳諧師の思想中に、諸る人間の感激熱情を滑稽的に解釈し、風流三昧と称する口実の下に、奮闘努力の世界から逃れて、唯我的思想の隔離を企てたような著しいデカダンスの傾向を示した事は、当時の文芸的作品によって伺い知る事が出来る。同時に吾人は仏蘭西のデカダンス思想の甚しく暗鬱に厭世的反抗的なるに反して江戸のデカダンス思想の、不思議な程軽快に楽天的で且つ執着に乏しいそれ等の差別から、根本的に国民性の相違にも気付く事が出来る。
いずれにもせよ。デカダンス思想は、爛漫たる文明の花が開き得る限りその花弁を開かせて風もない黄昏の微光の底に、今や散ろうか散るまいかと思悩んでいる美しい疲労の態を意味するので、されば建国武勇の思想から見たならこれ程危険なこれ程恐しいものはあるまい。しかし仏陀の教にも諸行無常、生者必滅と云う事が云われてある。