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あぢさい

花火・来訪者 他十一篇

永井 荷風

線上閱讀永井 荷風《花火・来訪者 他十一篇(あぢさい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 52,046 字 · 104 頁

青空文庫

はその翌月の誌上に次の如き記事を掲げた。

森鴎外博士が死んだ。新聞の報道だけを見ると、死んだ人は皆それ相当に褒められて居る。生前随分批難の的となって居た人間でも、死んだとなると手の平を返すように褒められる。人情としてさもあるべきことだ。鴎外博士もやっぱりその通りである。生前イヤな奴だと思って居ても死後その人の逸話や私生活を知ると何となく好きになって来る人がある。ちょっとした逸話にその人の人間らしい面目が見えて、生前の反感が打消されて了うような人がある。原敬だの山県有朋だの出羽の海だのは、生前イヤであったが、死んでから割合に好感を持てた。ところが生前もイヤな奴で死後もなおイヤな奴がある。大隈だの森鴎外だのがそれだ。彼等の死後業々しく報道される彼等の人となりを知れば知るほど、一層親しみが持てない。鴎外博士は飜訳こそしたが彼の仕事が文壇に取ってどれだけ意義あるものかは疑わしい。鴎外が飜訳をしなくたって、馬場孤蝶だって、米川正夫だって、誰かが多分飜訳してくれるだろう。それを読めば十分だ。ただ鴎外は飜訳の先鞭をつけたというだけのものだ。結局鴎外はお上の月給取りというだけのもので、彼が死んだことの為に文壇は少しも騒ぐに当らないと思う。