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あぢさい

花火・来訪者 他十一篇

永井 荷風

線上閱讀永井 荷風《花火・来訪者 他十一篇(あぢさい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 52,046 字 · 104 頁

青空文庫

末世の漢文家を侵した一例と見ても差支えがないからである。

自分は「東京新繁昌記」の奇妙な文体が、厳格なる学者を憤慨させる間違った処に、時代を再現させるその書の価値が含まれているのだと思う。かくの如き漢文はやがて吾々が小学校で習った漢字交りの紀行文に終りを止めて、その後は全く廃滅に帰してしまった。時勢が然らしめたのである。漢文趣味と戯作趣味とは、共に西欧趣味の代るところとなった。自分は今日近代的文章と云われる新しい日本文が、恰も三十年昔に「東京新繁昌記」が試みた奇態な文体と同様な、不純混乱を示していはせぬかと思う事がある。かの「スバル」一派を以て、その代表的実例となした或る批評の老大家には、青年作家の文章が丁度西洋人の日本語を口真似する手品使いの口上のように思われ、また日本文を読み得る或外国人には矢張り現代の青年作家が日本文の間々に挿入する外国語の意味が、余りに日本化して使われている為め、折々は了解されない事があるとか云う話を聞いた。大きにそうかも知れない。しかしこの間違った、滑稽な、鵺的な、故意にした奇妙の形式は、寧しろ云現された叙事よりも、内容の思想をなお能く伺い知らしめるその文章の真生命であるのだ。