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くのうのねんかん

苦悩の年鑑

太宰 治

線上閱讀太宰 治《苦悩の年鑑(くのうのねんかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,798 字 · 16 頁

青空文庫

中国を相手の戦争は継続している。

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私は、純粋というものにあこがれた。無報酬の行為。まったく利己の心の無い生活。けれども、それは、至難の業であった。私はただ、やけ酒を飲むばかりであった。

私の最も憎悪したものは、偽善であった。

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キリスト。私はそのひとの苦悩だけを思った。

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関東地方一帯に珍らしい大雪が降った。その日に、二・二六事件というものが起った。私は、ムッとした。どうしようと言うんだ。何をしようと言うんだ。

実に不愉快であった。馬鹿野郎だと思った。激怒に似た気持であった。

プランがあるのか。組織があるのか。何も無かった。

狂人の発作に近かった。

組織の無いテロリズムは、最も悪質の犯罪である。馬鹿とも何とも言いようがない。

このいい気な愚行のにおいが、所謂大東亜戦争の終りまでただよっていた。

東条の背後に、何かあるのかと思ったら、格別のものもなかった。からっぽであった。怪談に似ている。

その二・二六事件の反面に於いて、日本では、同じ頃に、オサダ事件というものがあった。オサダは眼帯をして変装した。