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もきちのいちめん
茂吉の一面
宇野 浩二
線上閱讀宇野 浩二《茂吉の一面(もきちのいちめん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,671 字 · 10 頁
と「奮戦」を、賞讃したのである。しかし、一たん短歌になると、前の葉書にもあり、この絵葉書の中にも、「御歌も厳選にて困りますが……」とあるように、厳しかった事がうかがわれる。ところで、その時分の茂吉の歌には、戦争について詠んだ歌が多いが、その時分のことであったか、昭和十六年の十二月八日に始まった、太平洋戦争がおこってからであったか、日本の戦勝の報がつたわると、その翌日に、その戦勝をたたえる歌を、茂吉が、その度に、作った事があった。その頃、茂吉に逢った時、「私が、先生の戦勝の即興歌は、失礼ですが、大変つまらないと思います、が、「ナントか、ナンとか、老兵クリイクわたる」というような歌は、実にいいと思いますけれど、……」と云うと、茂吉は、ちょいと苦苦しそうな顔をして、「あんな即興歌は、無理やりに頼まれて、感激も何もないのに、でっち上げるからです、が、「老兵クリイクわたる……」というようなのは、ニュウス映画を見て、作るからです、……つまり、「写生」だからです、」と、ニコニコしながら、云った。
後記――はじめは、茂吉が、或る時、窮したあまり、青山の焼け跡の地所を売ることを交渉したり、自分の肖像画を売ってもらおう、と思って交渉したり、する事を書くつもりであったが、その肝心事が書けないで、こんなだらしのない文章になってしまっ