輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

くさめいきゅう

草迷宮

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《草迷宮(くさめいきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,733 字 · 142 頁

青空文庫

「まあ、稚児の昔にかえって、乳を求めて、……あれ、目を覚す……」

さらば、さらば、御僧。この人夢の覚めぬ間に、と片手をついて、わかれの会釈。

ト玄関から、庭前かけて、わやわやざわざわ、物音、人声。

目を擦り、目をり、目を拭いいる客僧に立別れて、やがて静々――狗の顔した腰元が、ばたばたと前へ立ち、炎燃ゆ、と緋のちらめく袖口で音なく開けた――雨戸に鏤む星の首途。十四日の月の有明に、片頬を見せた風采は、薄雲の下に朝顔の莟の解けた風情して、うしろ髪、打揺ぎ、一たび蚊帳を振返る。

「やあ、」

と、蚊帳を払って、明が飜然と飛んで縋った。――

袂を支える旅僧と、押揉む二人の目の前へ、この時ずか、と顕われた偉人の姿、靄の中なる林のごとく、黄なる帷子、幕を蔽うて、廂へかけて仁王立、大音に、

「通るぞう。」

と一喝した。

「はっ、」

と云うと、奇異なのは、宵に宰八が一杯――汲んで来て、――縁の端近に置いた手桶が、ひょい、と倒斛斗に引くりかえると、ざぶりと水を溢しながら、アノ手でつかつかと歩行き出した。

その後を水が走って、早や東雲の雲白く、煙のような潦、庭の草を流るる中に、月が沈んで舟となり、舳を颯と乗上げて、白粉の花越しに、すらすらと漕いで通る。