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らくご・きょうそれつでん

落語・教祖列伝

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《落語・教祖列伝(らくご・きょうそれつでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,245 字 · 25 頁

青空文庫

「物は相談だが」

「ナニ。物は相談だと。どいつも、こいつも同じことを云やアがる。なにかい。この土地じゃア、お早う、今晩は、と同じように、物は相談だが、てえきまった挨拶があるのかい」

こう云いながら膝の下から三四寸の釘のような物をとりあげて、人体図に向ってヒョイと投げる。顔の急所と覚しきところへ釘はピュッと突きささっている。

客がフトコロへ手を突ッこむと、

「よしねえ、よしねえ。そんなところから何を出したって何にもならねえよ。つまらねえことをしやがる。こッちはベロをだしてやるから、そう思え」

ピュッと釘を投げる。急所へグサリ。客がそッちを見ているうちに、どうヒモをひいたのか、戸がスルスルとあく。

「戸があいたぜ。帰んな。帰んな」

と、追いだしてしまう。

いかに礼儀知らずの岡ッ引とは云え、重ね重ね無礼千万。これ以上放ッておいては、一人の鼻介に十里四方が征服されたようなもの。そこでアンニャの有志が集合して、

「あの野郎をこのままにしておいては、この村に男が居ねと云われても仕方があるめ。こう言われては、末代までの大恥をかかねばならねもんだ」

「そうらとも。どうしても、いっぺん、くらすけてやらねばならねな」