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らくご・きょうそれつでん
落語・教祖列伝
線上閱讀坂口 安吾《落語・教祖列伝(らくご・きょうそれつでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,807 字 · 28 頁
しかし、絶対速度を会得しないと、魚がすくんで、自ら人間の指の股へはさまりにくるところまでは行くことができないのである。
いかに極意をきわめても、二百米の川幅を一息に歩いて渡るのは、ほぼ限度である。カメは極意に達しているから、限度もわきまえている。これはむずかしいぞ。一足狂うと失敗すると見てとったから、万全の構えを立て、存分に極意を用いて、静かに対岸に渡りきってしまった。頭がでる。顔がでる。肩がでる。
殿様はじめ一同ヤンヤの大カッサイ。茫然としているのは、扇谷十兵衛だ。専門家の彼は無邪気にカッサイはできない。それ以上に、驚愕が大きいのである。
とても人間業ではない。
対岸へあがったカメが、再び腹をさすり、まず平息をととのえ、心機熟して、慎重に長息法を用いているをジッと見つめて十兵衛は感きわまってしまった。
このような息のたたみ方があるということを十兵衛は今まで気がつかなかった。しかし水中に半生をささげた十兵衛である。カメの長息法を熟視すれば、それがまさしく極意の仕業であり、人間にもそんなことができる名人がありうるという可能性はハッキリ身にしみてくるのである。