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ぐびじんそう
虞美人草
線上閱讀夏目 漱石《虞美人草(ぐびじんそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 198,559 字 · 401 頁
「ハハハハさすが哲学者の御弟子だけあって、容易に権威に服従しないところが感心だ。じゃ改めて伺うが、取って御幾歳ですか」
「そんな茶化したって、誰が云うもんですか」
「困ったな。叮嚀に云えば云うで怒るし。――一だったかね。二かい」
「おおかたそんなところでしょう」
「判然しないのか。自分の年が判然しないようじゃ、兄さんも少々心細いな。とにかく十代じゃないね」
「余計な御世話じゃありませんか。人の年齢なんぞ聞いて。――それを聞いて何になさるの」
「なに別の用でもないが、実は糸公を御嫁にやろうと思ってさ」
冗談半分に相手になって、調戯れていた妹の様子は突然と変った。熱い石を氷の上に置くと見る見る冷めて来る。糸子は一度に元気を放散した。同時に陽気な眼を陰に俯せて、畳みの目を勘定し出した。
「どうだい、御嫁は。厭でもないだろう」
「知らないわ」と低い声で云う。やっぱり下を向いたままである。
「知らなくっちゃ困るね。兄さんが行くんじゃない、御前が行くんだ」
「行くって云いもしないのに」
「じゃ行かないのか」
糸子は頭を竪に振った。
「行かない? 本当に」
答はなかった。今度は首さえ動かさない。