輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

たんぱくせき

蛋白石

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《蛋白石(たんぱくせき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,056 字 · 25 頁

青空文庫

」

なんかと云った時にはつくづく女主人と云う気持を味わった。

忘れるといけないと思ってわざわざ向うの所を書いて女中部屋の柱にはりつけさせた。

「それでも失くしたらね、

林町で聞けばすぐわかるよ、

私が海へ行くと云えばきまってるんだから。」

千世子はたった一人二時の汽車で立ってしまった。

汽車の中で約束違えをして来た例の二人に葉書を書いた。

「お約束を違えましたが今日小田原へ立ちました。

二十日ほど御幸ヶ浜の養生館に居ます。

書架が開いてますから留守へも行ってやって下さい、

女中が淋しがってましょうから。」

一枚の葉書に二人の名宛を書いた。

万年筆の少し震えた字を見なおそうともしないで、東京でこの葉書をうけ取った二人の顔を想像して居た。

あんな人達に送られて仰山ぶって二十日ぼっちつい鼻の先へ出かけるものがあるもんか。

千世子は何となしに肩がスーッとした様であった。

誰の事も心配しずに二十日の間海を見て暮せると云う事は下らない事のゴチャゴチャつづいた後にはたまらなく慰めの多い事で自分の体がほんとうに自分のものになった気持がした。

同車の男がマッチをするのを見て千世子は火の用心をおし、と云って来るのを忘れたのを思い出してたまらなく不安心になった。