輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

とししゅん

蜘蛛の糸・杜子春

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《蜘蛛の糸・杜子春(とししゅん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,703 字 · 52 頁

青空文庫

遠藤はもどかしそうに、椅子から妙子を抱き起しました。

「あら、嘘。私は眠ってしまったのですもの。どんなことを言ったか、知りはしないわ」

妙子は遠藤の胸に凭れながら、呟くようにこう言いました。

「計略は駄目だったわ。とても私は逃げられなくってよ」

「そんなことがあるものですか。私と一しょにいらっしゃい。今度しくじったら大変です」

「だってお婆さんがいるでしょう?」

「お婆さん?」

遠藤はもう一度、部屋の中を見廻しました。机の上にはさっきの通り、魔法の書物が開いてある、――その下へ仰向きに倒れているのは、あの印度人の婆さんです。婆さんは意外にも自分の胸へ、自分のナイフを突き立てたまま、血だまりの中に死んでいました。

「お婆さんはどうして?」

「死んでいます」

妙子は遠藤を見上げながら、美しい眉をひそめました。

「私、ちっとも知らなかったわ。お婆さんは遠藤さんが――あなたが殺してしまったの?」

遠藤は婆さんの屍骸から、妙子の顔へ眼をやりました。今夜の計略が失敗したことが、――しかしその為に婆さんも死ねば、妙子も無事に取り返せたことが、――運命の力の不思議なことが、やっと遠藤にもわかったのは、この瞬間だったのです。