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われはうたえども やぶれかぶれ
蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ
室生 犀星
線上閱讀室生 犀星《蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ(われはうたえども やぶれかぶれ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,726 字 · 90 頁
あがりと若さとが面白く映った。彼女は皇太子妃の後を趁うて写真をとることに、心から倦怠を感じたのだ。
朝は十三四人の看護婦の人達が大きな事務室の卓を囲うて、環円をえがいて立ち、その日の仕事の受持を婦長から割り当てられていた。医看徽章の白羽箭を後ろにはねた制帽と、白衣に白い靴にいたるまで凡て白ずくめの彼女らは、唯一つの装飾である手巾だけが胸のポケットにたたまれ、うすい藍や、うすい黄色を見せているだけで、紅い手巾は一さいつかっていなかった。それらの大輪の環円人花はちょっと廊下からは花びらを見るのに似ていて、打合せが済むと花びらは弛いこなしで蕊の方からくずれて行った。私はそれを殆ど毎朝見ながら後架に入り、後架を出ていた。
幅二米半に三十米もある病室前の大廊下には、物しずかな昼間でも宵の程でも、看護婦の誰かが用向きで歩いていた。後ろ姿では胴くくりの白衣の紐がはね返り、制帽と髪とをとめてある珠が後ろで光ってみえた。横着な私は咳にむせびながらその咳の静まるのを待って、うまい煙草を夜中の一時という時間にほれぼれと喫煙していた。嘗て満洲奉天の阿片窟で寝台の上にふかぶかと居眠りながら、阿片を吸う人達を見たことがあったが、私はたった半本の喫煙に眼をほそめながらいた。