輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《血曼陀羅紙帳武士(ちまんだらしちょうぶし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,970 字 · 176 頁

青空文庫

二本の棒を櫂にして、地上を、海のように漕いで、躄り車を、進ませてくるのであった。長方形の箱の左右に附いている、四つの車は、鈍く、月光の波を分け、キリキリという音を立てて、廻っていた。と、車は急に止まり、老人の眼が、頼母へ据えられた。

「おお来たか!」

咽喉で押し殺したような声であった。極度の怒りと、恐怖とで、嗄れ顫えている声でもあった。そう叫んだ老人は、棒を手から放すと、片手を肩の上へ上げ、肩の上へ、背後からはみ出していた刀の柄へかけた。刀を背負っていたのである。それが引き抜かれた時、月光が、一時に刀身へ吸い寄せられたかのように、どぎつく光った。刀は青眼に構えられた。

「来たか、来栖勘兵衛! 来るだろうと思っていた! が、この有賀又兵衛、躄者にこそなったれ、やみやみとまだ汝には討たれぬぞ! それに俺の周囲には、いつも警護の者が附いている。今夜もこの屋敷には、六人の腕利きが宿直している筈だ。勘兵衛、これ、汝に逢ったら、云おう云おうと思っていたのだが、野中の道了での斬り合い、俺は今に怨みに思っておるぞ! 事実を誣い、俺に濡れ衣を着せたあげく、俺の股へ斬り付け、躄者になる原因を作ったな。