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こうじん
行人
線上閱讀夏目 漱石《行人(こうじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 224,801 字 · 452 頁
同じ流れか、違う流れか、水の面が二三度目に入った。そのうち暑さに堪えられなくなって、また好い加減に岡田の家へ帰って来た。
二階へ上って、――自分は昨夜からこの六畳の二階を、自分の室と心得るようになった。――休息していると、下から階子段を踏む音がして、お兼さんが上って来た。自分は驚いて脱いだ肌を入れた。昨日廂に束ねてあったお兼さんの髪は、いつの間にか大きな丸髷に変っていた。そうして桃色の手絡が髷の間から覗いていた。
六
お兼さんは黒い盆の上に載せた平野水と洋盃を自分の前に置いて、「いかがでございますか」と聞いた。自分は「ありがとう」と答えて、盆を引き寄せようとした。お兼さんは「いえ私が」と云って急に罎を取り上げた。自分はこの時黙ってお兼さんの白い手ばかり見ていた。その手には昨夕気がつかなかった指環が一つ光っていた。
自分が洋盃を取上げて咽喉を潤した時、お兼さんは帯の間から一枚の葉書を取り出した。
「先ほどお出かけになった後で」と云いかけて、にやにや笑っている。自分はその表面に三沢の二字を認めた。
「とうとう参りましたね。御待かねの……」
自分は微笑しながら、すぐ裏を返して見た。