輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《街はふるさと(まちはふるさと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 頁

青空文庫

又、記代子がニンシンをうちあけたのも、熱海の宿であった。

青木は錦ヶ浦の茶店で休んだ。断崖の柵にそうて、若い人たちがむれていた。空も、海も、あかるい。

「あそこで、ダイヴしたのかな」

しかし、そう考えたり、それを突きとめるために来たわけではなかった。彼は目当てがないのだ。ただ、感傷旅行をたのしんでいるのであった。

熱海の道々に記代子の匂いがしみているような気がする。そう考えてもいいのだ。なんとなく、センチな気分を追って、漫然と感傷的な旅にひたりたかったのだ。彼の身をとりまいて感じられる見えない敵意の数々から逃げだしたくもあった。

「ここ一週間ぐらいのうちに、誰か投身した人がありましたか」

彼は茶店の人にきいた。

「投身は下火になりました。今は、アドルムですね」

「なるほど。めったに投身はないのですか」

「いゝえ。下火といっても、かなり、あるんですよ。三四日前にも泳ぎの達者な学生がとびこんで、助かりましたね」

茶店の前に十名ぐらいの若い男女の団体がむれていた。

「誰か、とびこむ勇士はいないか」

「よし」

小柄な男が声に応じて群から離れた。彼は肩のリュックを下した。