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がいていのようこうろ

街底の熔鉱炉

佐左木 俊郎

線上閱讀佐左木 俊郎《街底の熔鉱炉(がいていのようこうろ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,879 字 · 14 頁

青空文庫

」

婆さんは続けた。

「いや、どうもすみません。ちょっと出なければならない用事があったもんだから、一人で来たんじゃ、誰もいないところで待っているのが大変だろうと思って……」

「なんてことだね。馬鹿馬鹿しい。じゃ、留守をさせられたわけね。自分の家を空にして置いて、他人の家の留守だなんて、馬鹿馬鹿しいにも程があるよ。――じゃ、別に用事はないんだね?」

「あ、別に……」

「ああ、本当に、馬鹿見たよ。」

婆さんは喚きながら帰って行った。彼は房枝の傍へどっかりと坐った。

五

房枝は自分の家に帰って肌を脱いで休んでいた。そこへ婆さんが喚きながら飛び込んで来た。婆さんは額に青筋を立てて興奮していた。

「房ちゃん! 房ちゃん! 帰ったかね?」

「あら! 小母さん。さあ、おあがりになって。本当にお世話さまで御座いますよ。近頃は。」

病気で寝ていた房枝の母親が玄関傍の三畳から出て応待した。併し婆さんはそれどころでないという様子だった。

「私んとこではまあ、大へんなことになったんですよ。私が、房ちゃんに従いて行って、ちょっと留守にしたばかりに、全く飛んでもないことになったんですよ。