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みえざるてき

見えざる敵

海野 十三

線上閱讀海野 十三《見えざる敵(みえざるてき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,777 字 · 16 頁

青空文庫

「なアんだ。蠅を入れたのじゃないか。それが見えなくてどうする」

ウルスキーは莫迦にされたとでも思ったものか、腹立たしそうに叫んだ。

「蠅が二匹、たしかに見えるというのだナ。それでよしよし」楊博士は軽く肯き「では暫く、この壜の中の蠅をよく見ておれ。よく見ておれば、今になにか異変を発見するじゃろう。そのときは、儂にいってくれ」

「なにか異変を、だって。うむ、ごま化されるものか」

二人は顔を硝子壜のそばによせ、目玉をグルグルさせて、壜の中をとびまわる蠅の行方を追いかけていた。

そのうちに二人は、

「オヤ、――」

と叫んだ。つづいて間もなく、

「オヤオヤ。これは変だ」

と愕きの声をあげた。

「なにか起ったかナ」

「うむ。蠅が二匹とも、どこかに行ってしまった」

「蠅の姿が見えなくなったというわけだナ。どこへも行けやせんじゃないか。密閉した壜の中だ。どこへ行けよう。第一壜に耳をあてて、よく聞いてみるがいい。蠅はたしかに壜の中を飛んでいるのだ。翅の音が聞えるにちがいない」

二人は半信半疑で、大きな硝子壜に耳をつけてみた。

「なるほど、たしかに翅がブーンブーン唸っている。それにも拘らず蠅の姿が見えない。