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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
線上閱讀山川 方夫《親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選(きく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 67,486 字 · 144 頁
主上もお言葉をそえられ、気うつならばすこし引きこもって養生せよと仰せられた。女はありがたくそのお言葉を受け、あたえられた一室に引きこもった。
とはいえ、いくら考えても、当時の風習として、いったん中宮のお側にお仕えした身が、官位もなく、ただの雑色とたいしてかわりのない一介の武士に嫁ぐことは、許される道理がなかった。また、たとえ御所内の雑色を手なずけ、かれに文使いをたのんだにせよ、あの若い武士のような無位無官の男を、御所にしのびこませることなどは絶対にできない。せっかくのお心づかいで部屋に引きこもったのだったが、なにもせず思いをこらすことは、女の身のうちの炎に油を注ぎ、いよいよ妄想をつのらせ、肥らせることにしかならなかった。そして、あることを女は思いついた。女は中宮に木彫職人にたのみたいことがあると申し出て、そのご許可を得た。中宮は、気うつ散じに、女が人形とでも遊んでみる気をおこしたのだ、とお考えになられたのだ。
ご想像はあたっていた。たしかに、女は人形をほしいと思ったのだ。が、その人形は、中宮のお考えのような、小さな、いわゆる女子供のもてあそぶそれではなかった。