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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

線上閱讀萩原 朔太郎《詩の原理(しのげんり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 頁

青空文庫

この点さえはっきり掴めば、他の一切の形式は問題でなく、ウソの詩と本当の詩、詩と詩でないものとの判定が、文学の第一原理として解ってしまう。そこで詩の正しい定義は、それが文学としての情象表現であると言うことに帰結する。即ち命題すれば、詩とは情象する文学である。そして実にこの定義が、詩の形式する一切を言い尽している。すくなくともこの点では、もはや議論は終結した。故に上来述べ来った、他のより皮相見の――しかしながら一般的に信じられている――別の二種の詩の定義と、この最後に提出された新定義とを、左に並列して書いてみよう。

A、詩とは形式韻文である。

B、詩とは音律を本位とする文学である。

C、詩とは情象する文学である。

三種の中で、何れが果して真であるかは、読者の比較と判断に任すのみだ。しかし注意しておきたいのは、この中でAが最も狭義であり、Bがやや広く、Cが最も広義であるということである。詳説すれば、Aの中にはBもCも包括されない故に、諸君にしてもしAを選べば、自由詩や散文詩やは、勿論「詩」の仲間に這入れなくなる。然るにBはより広義である故に、この中には定律詩も自由詩も、共に両方を包括され得るだろう。