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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

線上閱讀萩原 朔太郎《詩の原理(しのげんり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 頁

青空文庫

されば自然主義の出発点は、始めから人間主義者的な逆説感に立っていたので、つまり言えば「道徳に反対する道義主義」であったのだ。此処で読者は、前章に述べたことを再考されたい。前章に於て、自分は倫理的情操に於ける二種のものを説明した。即ち「愛」をモチーフとする道徳感と、「義」をモチーフとする道徳感で、前者は女性的に涙もろく、後者は男性的に反撥することを特色し、しかも両者は一つの倫理線で相対している。自然主義の倫理感は、もちろん言うまでもなく、この後のものに根拠している。彼等の意志は、浪漫派の感傷道徳に反対して、他の懐疑的な見地に於ける、別の正義感を叫んでいたのだ。それは「没道徳」の態度でなくして、正しく「反道徳」の態度であった。(前章、章尾の註を参照せよ)

こうした自然派の文学が、本質上に於て主観主義に属することは言うまでもない。それは情熱の高い、ドグマを主張する、詩的精神に充たされた文学であった。全然彼等の作物は、根本的にその主張と矛盾していた。否、彼等自身の文学論が始めから既に認識上で矛盾していた。元来芸術上の客観主義は、本質に於て観照本位の文学である故に、レアリズムの立場は必然に「芸術のための芸術」