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とんぐん

豚群

黒島 伝治

線上閱讀黒島 伝治《豚群(とんぐん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,277 字 · 15 頁

青空文庫

こんな不意打を食わせるなんて、どこにあるもんか!」

彼等は、腹癒せに戸棚に下駄を投げつけたり、障子の桟を武骨な手でへし折ったりした。この秋から、初めて、十六で働きにやって来た、京吉という若者は、部屋の隅で、目をこすって、鼻をすゝり上げていた。彼の母親は寡婦で、唯一人、村で息子を待っているのであった。

「誰れが争議なんかおっぱじめやがったんかな。どうせ取られる地子は取られるんだ。」宇一は、勝手にぶつ/\こぼした。「こんなことをしちゃ却って、皆がひまをつぶして損だ。じっとおとなしくしとりゃえゝんだ。」

彼は儲けた金を家へすぐ送る必要がなかったので、醤油屋へそのまゝ、利子を取って貸したりしていた。悪くするとそれをかえして貰えない。宇一は、そんなことにまで気をまわしているのであった。

それを知っている健二はなおむか/\した。

「おい、お主等どうだい?」

ふと煤煙にすゝけた格子窓のさきから、聞覚えのある声がした。

「おや、君等もやられたんか!」窓際にいた留吉は、障子の破れからのぞいて、びっくりして叫んだ。

そこには、他の醤油屋で働いていた同村の連中が、やはり信玄袋をかついで六七人立っていた。