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へんさいじょき

貢太郎見聞録

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《貢太郎見聞録(へんさいじょき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,162 字 · 59 頁

青空文庫

しかしその一方、未の刻に麹町から出た火があって、雉子橋、一つ橋、神田橋に及び、また北風になった風に煽られて、八重洲河岸、大名小路を嘗め、西丸下桜田に至って二つに別れ、一方は通町に出で、一方は愛宕下から芝浦まで往った。この火に江戸城の本丸並びに二三の丸も焼けたので、将軍家綱は西の丸に避難した。この火には諸大名の邸宅五百軒、神社仏閣三百余、橋梁六十、坊街八百を焼失したが、市民の屋舎の焼失した数は判らない。その時の死人は、「本庄に二町四方の地を賜ひ、非人をして死骸を船にて運ばしめ、塚を築きて寺院を建て、国豊山無縁寺回向院と名づけしめ給ふ」と武江年表に書いてあるが、これが回向院の起りである。その明暦の大火は俗に振袖火事という名があって、奇怪な因縁話がまつわっている。

寛永四年十月には、山城、大和、河内、摂津、紀伊、土佐、讃岐、伊予、阿波、伊勢、尾張、美濃、近江、遠江、三河、相模、駿河、甲斐、伊豆、豊後の諸国にわたって大地震があって、人畜の死傷するもの無数。そして土佐、阿波、摂津、伊豆、遠江、伊勢、長門、日向、豊後、紀伊などの海に面した国には海嘯があったが、そのうちでも土佐などは海岸の平地という平地は海水が溢れて被害が大きかった。