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かしまをさがしたとき

貸間を探がしたとき

小川 未明

線上閱讀小川 未明《貸間を探がしたとき(かしまをさがしたとき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,776 字 · 6 頁

青空文庫

と、言った。

私は早速家にはいって二階へ上って見た。畳の汚れた、天井張りの低い六畳の間であった。外から見た時には、南に縁側がついているので、暖かそうに、日がよく当っていて明るそうであったが、室の内にはいって見ると何うしたことか、陰気で、暗っぽい感じがした。しかも窓が、東の方にも付いていたけれど、どういうものか気持を引立てなかった。

「この室には、はいる気がしない」

私は、ただこんなことが念頭に浮んだ。そして、爺さんが静かだとか、日がよく当るとか、学校にもそう遠くはないと言ったことなどを耳に聞きながらも、私は、しばらく黙って考えていた。

「また、よく考えて来ます」

こう言って、私は、その家から出た。そして、他にも、貸間はないかと、方々探がして歩るいた。他にも、好ましい家はなかった。しかし、私は、思い返して、二たびあの二階家へ行って見る気は、どういうものか起らなかったのであった。

ある時、Bの室で、二三人学友が集った時、貸間の話が出たのであった。やはり、みんなも貸間を探がしていたと見える。

Nが、電燈の下で、眼鏡を光らせながら言った。

「台町になら、一軒二階で貸間があるんだ。