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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《赤ひげ診療譚(あかひげしんりょうたん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,384 字 · 41 頁
「新出先生に頼んでごらん」と津川は答えた、「あの薬は先生のほかに手をつけることはできないんだ、先生はお部屋にいるよ」
その女はちらっと登を見た。登の視線を感じたからだろう、登を斜交いにすばやく見て、さっと頬を染めながら会釈をし、南の口のほうへ小走りに去った。
津川は登をうながして歩きだした。南の病棟にそっていくと、横に長く二百坪ほどの空地があり、その向うは柵をまわした薬園になっていた。ここは元来が「小石川御薬園」といって、幕府直轄の薬草栽培地であり、一万坪ほどの栽園が二つ、道をはさんで南北にひろがっていた。養生所は南の栽園の一部にあるのだが、このあたりは高台の西端に当るため、薬園の高いところに立つと、西にひらけた広い展望をたのしむことができた。
栽園は単調だった。冬なので、薬用の木や草本は殆んど枯れており、藁で霜囲いをした脇のところに、それぞれの品名を書いた小さな札が立ててあった。霜どけでぬかる畦道をいくと、係りの園夫たちが幾人かで、土をひろげたりかぶせてある藁を替えたりしてい、津川を見るとみな挨拶をした。津川はかれらに登をひきあわせ、かれらは登に向かって、自分たちの名を鄭重になのった。