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あかさかじょうのからくり
赤坂城の謀略
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《赤坂城の謀略(あかさかじょうのからくり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,661 字 · 16 頁
「…………」
「合戦の勝敗と申すもの、必ずしも大勢小勢にはよらぬ。ただただ兵の志が、一になるかならぬかにある。……公綱が行動を案ずるに、先般関東方我に破られ、面目を失して帰りし後、小勢にて向い来し志、生きて帰らぬ覚悟であろう。それに公綱は弓矢とっては、坂東一と称さるる人物。従う紀清両党の兵は、宇都宮累世養うところのもの、戦場に於て命を棄つること、塵埃の如く思いおる輩じゃ。その兵七百余騎志を合わせ、決死を以て当手に向わば、当手の兵大半は討たれるであろう。関東討伐、朝権恢復、この戦を以て決しはせぬ。行末遥の戦に多からぬ味方を失うては、取り返しならぬこととなろう。……正成、今宵陣を引く所存じゃ」
「ご退陣?」と、正遠も、孫三郎も、驚いたように眼を見張った。「一戦もお交しあそばされずに?」
「一旦退いてまた乗っ取るのじゃ」
「…………」
「味方を傷つけず敵も傷つけぬためにな」
「…………」
「公綱に恩を施すともいえる」
「…………」
「宇都宮公綱は律義者じゃ。義に厚く情に脆い。坂東武者の典型でもあろうよ。ただ不幸にして順逆の道を誤り、今こそ朝家に弓引いておるが、一旦の恩に志を翻えし、皇家無二の忠臣として、尽瘁せぬとも限られぬ。