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せきようかんじけんのしんそう
赤耀館事件の真相
海野 十三
線上閱讀海野 十三《赤耀館事件の真相(せきようかんじけんのしんそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,797 字 · 60 頁
「そうしてくれ給え、その方がいい」
「短刀を、ひき出しの中へでも、おしまいになっては如何ですか」
「そうだ。そうだった。僕が奴をころしたんでないことは、お前も知っているだろう」
「私は信じます。短刀は、唯、手に遊ばしていただけと存じます」
「そんならお前は、僕に殺意があったと……。ウ、ウ……おれにも判らない」
医者の来たのは五十分の後のことでした。早速カンフルを打ってみましたが、反応はありません。もうチアノーゼが薄く現われていましたし、身体もずんずん冷えて行くようでした。心臓麻痺で死んだことは医者の口を借りるまでもありません。
医者の厚意で、警察の検視もこれに引続き至極簡単にすみました。唯、笛吹川画伯の臨終を見ていたものは、兄だけだったというので、一寸した訊問が尾形警部の手で行われました。
「貴方の外に画伯の臨終を見た人はありませんか」
「私と対談中に倒れたのでして、外にはないようです」
「どんな風に倒れましたか」
「すこし興奮した様子で、安楽椅子から立ち上りましたが、ウンと言うなり床の上に倒れたのです。その時、卓を倒したものですから、その上に載っている茶碗などが壊れてしまいました」