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せきようかんじけんのしんそう
赤耀館事件の真相
海野 十三
線上閱讀海野 十三《赤耀館事件の真相(せきようかんじけんのしんそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,797 字 · 60 頁
兄夫婦の間には、しばらく白々しい沈黙が過ぎて行きました。
「あなた、このごろ勝見の様子が、どこか変じゃありませんこと?」
「笛吹川が亡くなったので、気を落しているのだろう」
「そうでしょうか。勝見が独りでいるところを横から見ていますと、何かに憑かれているようなんですよ。話をして見ても、言語のはっきりしている割合に、どことなく陰険なんです。それに勝見はこんな顔をしていたかしらと思うこともあるのです。あの眼。このごろの勝見の眼は、死人の腐肉を喰べた人間の眼ですよ」
「そりゃ、よくないね。君は神経衰弱にかかっているようだよ。養生しなくちゃ……」
「神経衰弱なんでしょうか?……でも気味が悪いんですもの。わたしもあの男に喰べられてしまうかも知れないわ」
「馬鹿なことを言っちゃいけない。だからこれからは、麻雀競技会を時々開いて大勢の人に来て貰うのさ。今に、親類のように親しくなる人が三人や四人は出来るよ」
「勝見に暇をやることはいけなくって?」
「ウム。いけないこともないが、時期がある。つまらないことを喋られてもいやだからな」
「私はもうこの館が、いやになったわ」
兄は毎日を家の中に居て、別にすることなく暮していました。