輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しゅみのいでん

趣味の遺伝

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《趣味の遺伝(しゅみのいでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 38,235 字 · 77 頁

青空文庫

銀杏の葉の一陣の風なきに散る風情は正にこれである。限りもない葉が朝、夕を厭わず降ってくるのだから、木の下は、黒い地の見えぬほど扇形の小さい葉で敷きつめられている。さすがの寺僧もここまでは手が届かぬと見えて、当座は掃除の煩を避けたものか、または堆かき落葉を興ある者と眺めて、打ち棄てて置くのか。とにかく美しい。

しばらく化銀杏の下に立って、上を見たり下を見たり佇んでいたが、ようやくの事幹のもとを離れていよいよ墓地の中へ這入り込んだ。この寺は由緒のある寺だそうでところどころに大きな蓮台の上に据えつけられた石塔が見える。右手の方に柵を控えたのには梅花院殿瘠鶴大居士とあるから大方大名か旗本の墓だろう。中には至極簡略で尺たらずのもある。慈雲童子と楷書で彫ってある。小供だから小さい訳だ。このほか石塔も沢山ある、戒名も飽きるほど彫りつけてあるが、申し合わせたように古いのばかりである。近頃になって人間が死ななくなった訳でもあるまい、やはり従前のごとく相応の亡者は、年々御客様となって、あの剥げかかった額の下を潜るに違ない。しかし彼らがひとたび化銀杏の下を通り越すや否や急に古る仏となってしまう。