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れんかんき

連環記

幸田 露伴

線上閱讀幸田 露伴《連環記(れんかんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 49,281 字 · 95 頁

青空文庫

ここになると小説を書く者などは、浅はかな然し罪深いもので、そりゃこそ、時至れりとばかり筆を揮って、有ること無いこと、見て来たように出たらめを描くのである。と云って置いて、此以下少しばかり出たらめを描くが、それは全く出たらめであると思っていただきたい。但し出たらめを描くようにさせた、即ち定基夫婦の別れ話は定基夫婦の実演した事である。

定基の妻の名は何と云ったか、何氏の女であったか、それは皆分らない。此頃の女は本名が無かった訳ではあるまいが、紫式部だって、本名はおむらだったかお里だったか、誰も知らない、清少納言だって、本名はおきよだったかおせいだったか、誰も知らない、知ってる方は手をあげなさいと云われたって、大抵の人は懐手で御免を蒙るでしょう。まさか赤ン坊の時から、紫式部や、おっぱい御上り、清少納言や、おしっこをなさい、ワンワン来い来い、などと云われたので無かろうことは分っているが、仙人の女王、西王母の、姓は侯、名は婉※、などと見えすいた好い加減なことを答えるよりは面倒だから、其儘にして置こう。美人だったか、醜婦だったかも不明だが、先ず十人並の人だったとして置いて差支えは無かろうが、其の気質だけは温和で無くて、強い方だったろうことは、連添うた者と若い身そらで争い別れをしたことでも想いやられる。