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れんかんき
連環記
幸田 露伴
線上閱讀幸田 露伴《連環記(れんかんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 49,281 字 · 95 頁
ダーキーニなら、これは御馳走と死屍を食べも仕ようが、ダーキーニでは無かった定基は人間だったから後へ退って了ったのであった。ここを坊さんの虎関は、会失レ配、以二愛厚一緩レ喪、因観二九相一、深生二厭離一、と書いているが、それは文飾が届き過ぎて事実に遠くなっている。九相は死人の変化道程を説いたもので、膨張相、青相、壊相、血塗相、膿瀾相、虫相、散相、骨相、土相をいうので、何も如何に喪を緩うしたとて、九相を観ずるまで長く葬らずに居たのでは無い、大納言の「口を吸ひたりけるに」の方が遥かに好い文である。そこで定基は力寿を葬ってしまった。葬という字は、死屍を、上も草なら下も草、草むらの中に捨てて了うことであり、ほうむるという言葉は、抛り放つことで、野か山へ抛り出して終うのである。何様も致しかたの無い人の終りは、然様するか然様されるのが自然なのである。生相憐み、死相捐つるのである、力寿定基は終に死相捐てたのである。
力寿に捐てられ、力寿を捐てた後の定基は何様なったか。何様も無い、斯様も無い、ただそこには空虚があったばかりであった。定基は其空虚の中に、頭は天を戴くでもなく、脚は地を履むでも無く、東西も知らず南北も弁えず、是非善悪吉凶正邪、何も分らずふらふらと月日を過した。