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れんかんき

連環記

幸田 露伴

線上閱讀幸田 露伴《連環記(れんかんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 49,281 字 · 95 頁

青空文庫

としたのは流石に恵心であった。其の恵心の弟子同様の寂照である。これは三河守だった昨日に引かえて、今日は見るかげも無い青道心である。次第乞食は之を苦しいとはせぬであったろうが、かなり苦しいことでもあったろう。次第乞食とは、良い家も貧しい家も撰まず、鉢を持して次第に其門に立って食を乞うのである。或日の事寂照は師の恵心の如く頭陀行をした。一鉢三衣、安詳に家々の前に立って食を乞うたのである。すると一軒の家に喚び入れられた。通って見ると、食物を体よくして「庭に畳を敷きて、供養しようとしたのである。何の心も無く其畳に居て、唱え言をして食わんとした。其時そこに向いて下してあった簾を捲上げたので、そなたを見ると、好き装束した女の姿が次第にあらわれた。簾は十分に上げられた。誰に言うたのか、女は「あの乞丐、如是てあらんを見んと思いしぞ」と言った。寂照は女を見た。女も寂照を見た。眼と眼とは確かに見合せた。女は正しく寂照が三河守定基であった時に逐出した其女であった。女の眼の中には無量なものがあった。怨恨の毒気のようなものもあった、勝利を矜るようなものもあった、冷やかなものもあった、甚だしい軽蔑もあった、軽蔑し罵倒し去っての哀れみのようなものもあった、猶自己が不幸に沈淪している苦痛を味わいかえして居るが如きものもあった、又其の反対