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どうとくのかんねん

道徳の観念

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《道徳の観念(どうとくのかんねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,388 字 · 140 頁

青空文庫

今までブルジョア諸国に於て道徳自体の問題としては解くことが絶対に絶望だと思われたような問題が、社会科学的に次第に根本的に解かれつつあるのである。特に宿命的に考えられる道徳問題は性道徳の夫だろうが、ソヴェートの道徳的実験はここでも見事に成功した。ここではただ、旧い「道徳」なるものを忘れさえすれば、真に道徳的になれるというような具合である(コロンタイ『新婦人論』やS・ヴォリフソン『結婚及び家族の社会学――マルクス主義的現象学入門』などが、この点の参照となる)。

さて道徳を社会規範・階級規範として説明出来た限り、実は、神秘的なニュアンスを歴史的に纏っている道徳という言葉などは、もはや理論的にあまり賢明なものではなくなった、ということを告白しなければならぬ。それだけではない、今まで人々が道徳という名の下に日常見聞きしてなれ親しんでいる旧既成道徳が、根柢的に新しい形のものとおきかえられたような実例に臨んでは、「道徳」という言葉は心理的にもあまり尤もなものではなくなって来ただろう。

元来道徳という言葉は通俗常識が最も愛用する言葉であって、吾々が日常この言葉を尊重しているのも亦、全くそれだけの理由からなのだが、処で通俗常識が之によって何を意図していたかというと、認識の不足と認識の歪曲とを、事物の科学的理論的分析と説明