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どうとくのかんねん
道徳の観念
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《道徳の観念(どうとくのかんねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,388 字 · 140 頁
ヘーゲルの家族は結婚と家族財産と子供(の教育)とを含んでいる。処がヘーゲルによると、子供の独立は家庭からの独立であり、その意味で家庭の解消に相当する。家庭は解消されて個々の個人となる(之は近代社会の事実上の根本傾向でもあるだろう)。そしてこの個々人は社会では家庭とは別な習俗に従って結合を有つに至る。と云うのは夫が個人の原子論的な(相互の間に機械的な結合関係しかない処の)結合に這入るのである(F・テニエス風に云えば共同社会関係から利益社会関係へだ。――その著『共同社会と利益社会』)。処で之が市民社会と云う第二の習俗性・人倫の段階である。
市民社会は即ちブルジョア社会のことに他ならぬ。之は云わばヘーゲルが発見した範疇であって、彼はこの内容の内に、需要・労働・財産・身分・司法・警察・等々の凡ての重要観念を忘れてはいない。そして特にヘーゲルの烱眼は、之を国家から区別したことだ。かくて国家が第三の習俗性=人倫の段階となる。ヘーゲルは国家の規定として単に国法乃至憲法のみならず、最後に世界史を置くのであるが、世界史とは民族精神の統一的な歴史に他ならない。国家は習慣風俗人情を共通にする民族を離れては考えられ得ないことになっている。