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どうじょうじ(ひとまくげき)
道成寺(一幕劇)
郡 虎彦
線上閱讀郡 虎彦《道成寺(一幕劇)(どうじょうじ(ひとまくげき))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,256 字 · 30 頁
妙念 (下手あたかも月色の渦巻ける片隅に立ちたれば、彩られたる血の色鮮かに、怪体なる微笑を浮めつつ狂喜の語調にて)たたきひしいでくれたぞ。悪蛇の奴、もうのたうつことも出来ないで、石の間に目も鼻もひしゃげた顔を垂れているわ。己の指が小蛇のよう跳りながら、生白い首にからんで喉骨のくだけるほども喰い入ると、腸の底から湧き上るような声がして、もう、あのぬらめいた血の汁だ。鉛を溶かしたように熱いのが顔中に溢れて、悪蛇のうめくようは――(息のつまる笑い)ちょうどそばに細長い石があったのをへらへらした舌の中へ、喰いしばる歯をたたき破って押し込むとだんだん呻くのが、きえて行く煙のように断え断えになって来た。(再び笑い)とうとうたたきひしいでくれたのだ。石の上で。――骨のかけるのが貝殻のように飛び散るのは知れたが洞穴のようなくらやみで、血味噌の中を幾たびかきまわしても眼と舌との見わけはつかぬ。ただ己の眼がだんだんあつい血の蒸気にかすんで来て、しまいには苔の上から落ちていた血の滴も聞えずに、じかに打ち合う石の音ばかりするようになったのだから、もうほんとに執念深いたましいまで、どのような風が吹こうとも生き返っては来ないのだ、みんなも安心するがいい。