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どうじょうじ(ひとまくげき)
道成寺(一幕劇)
郡 虎彦
線上閱讀郡 虎彦《道成寺(一幕劇)(どうじょうじ(ひとまくげき))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,256 字 · 30 頁
もう私は恐ろしさどころではございませぬ。にわかに自分の心が白絹のようにはっきりして、あなたのお身と鐘とが気づかわしさに、胎の子も禁制のことも知ってはいながら、命の最後を覚悟してはせ上って来たのでございます。
妙念 (蹌踉として正面に眼をすえたるままに歩み出でみずからに言えるがごとく声調怪しくゆるやか)三人の鬼女に分れて上って来るというのか、己の手がたたきひしいだのは悪蛇ではなかったのだな。己の身はやっぱり遁れることも出来ない呪いにまかれてしまったというのか。
依志子 (宥むるごとく寄り縋り)気を鎮めて下さいまし妙念様。(手を取りて)こんな酷しい血を流して、まあ青すじまでが、みみずのように。ほんとにどのような苦しい思いが、乱れた心を刺しまわるやら――(にわかにあたりを視まわして)あ、どうしたのでしょう。大変鳥がむらがって向うの方へ飛んで参ります。あんな怪しい叫びようをしてあとからもあとからも。この夜更けにどうしたというのだろう。
妙念 (依然としてうつつなき眼を定め)もうこの山から呪いの霧をひきはがすことは出来ないというのか、どんなとうとい法力をかりても、どんなおおどかな梵音をひびかしても、己の祈念が外道の執念に叶わないというのか。