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どうじょうじ(ひとまくげき)

道成寺(一幕劇)

郡 虎彦

線上閱讀郡 虎彦《道成寺(一幕劇)(どうじょうじ(ひとまくげき))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,256 字 · 30 頁

青空文庫

まだ和尚も年は若く堅固な道人の時で、見事に魔性を追い払ってはしまったが、その場のはからいに怨みを残して、執念というものがあの頭の中へ、小虫のようにかみ入って来たのだ。恋を欺された女の心ほど恐ろしいものと言うてもない。あれほどあっぱれな善知識だったのが一日一日とたましいの奥を喰み破られて、もうこのごろでは狂気のいろに変ったざまだ。その上怪しい女鐘造りの依志子というに、胎子なぞを孕まして、邪婬の煩悩になおのこと、あんなこの世からの外道とでもいう姿になってしまったのよ。この鐘も今夜はじめて音の出るように出来はしたが、性界も知れぬ怪体の女が、胎子と一所に鋳上げた不浄な鐘だ、あのように呻くのがひびいて行ったところには、山頂きの、月の色に燃えた杉の梢へでも、谷底の、岩の裂け目に咲く苔の花へでも、邪婬の霧が降らずにはいようもないわ。

若僧 その依志子という女人が山の中にいるのでございますか。

妙信 この山の麓に鐘造りの小屋をたてて、女人の工人たちと一所に住んでいる。男に怨みをかけた呪いのためかも知らぬが、女人ばかりは自在に山の上り降りが出来るので、ゆうべもこの鐘を車につんで真黒な装束をきせた女人たちに、曳き上げさしてのぼって来たが、恐ろしいことのあった晩から、鐘の出来た夜は女人禁制という掟になって、今夜このあたりにも姿を