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どうひょう
道標
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《道標(どうひょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 頁
ウォール街が曾て知らなかったという恐慌は突発したのではなくて、より理性的な人々によって予告されていたものであった。この事実は、世界の歴史の上に新しい智慧の力がもたらされているという現実を告げることだった。伸子は、そこに、きわめて現実的であって、そのために一層たしかで美しいものの存在していることを、感じずにいられないのだった。
四
午後四時に蜂谷良作が訪ねて来たとき、二階までそれを知らせに来たベルネのおばあさんが、一段一段階段を降りてゆくそのあとについてゆくのが、伸子にはまどろしかった。
蜂谷は、食卓として使うときのほかは掛布のとられている食堂の楕円形のテーブルのよこに立って、何だかいそいで歩いて来たような顔つきだった。
「こんにちは」
彼らの間の習慣になっている握手なしの挨拶で、伸子は、
「いかが?」
誇らしいような、いたずらっぽさで輝やく眼をした。
「『組織された資本主義』は、いかが?」
「――相当のものらしいね。読みましたか」
「よんだって、わたしには分らないところだらけだけれど――でも当ってよ、『一九三〇年は包括しないであろう』が……」
夏のころ、コミンターンのブハーリンに対する批判の出たあと、蜂谷と伸子とは、ヴァルガのその予告について話したことがあった。