輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《道標(どうひょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 頁

青空文庫

「――乾きはじめたわねえ」

伸子は天気のよさをよろこびながら、こんな事情で出て来たことを辛がっている声でつぶやいた。

素子は三人のすこし先に立つようにアストージェンカの角まで来た。そこで、立ちどまった。そして、

「宮野さん、どっちです?」

ふりむくようにしてきいた。折から、左手のゆるやかな坂の方から劇場広場の方向へゆく電車がのんびりした日曜日の速力で来かかっている。

伸子たちが住んでいる建物の板囲いからいくらも来ていないのに、いきなり素子からそうきかれて、宮野は間誤ついたらしかった。口のうちで、さあ、とつぶやきながら、うっとうしそうな睫毛をしばたたいた。

「――僕は、『赤い罌粟』の切符を買いに行っておきましょう」

「じゃ」

素子が、鞣帽子をかぶっている頭をちょいと下げて会釈した。

「わたしたち、こっちですから……」

宮野は鳥打帽のふちに手をかけた。

「レーニングラードへいらっしゃることもあるでしょうから――いずれまたゆっくりあちらでお目にかかります」

こうして宮野は電車の停留場のところへのこった。

伸子たちは、自然、停留場のあるその町角をつっきって、並木道へ入った。