輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《道標(どうひょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 頁

青空文庫

厚い八角のガラスコップについだ濃い茶を美味そうにのみながら、瀬川が意外そうに、

「吉見さん、あなた、なかなか論客なんですね」

と、髭をうごかして云った。

「わたしは、これまで、佐々さんの方が、議論ずきなのかと思っていましたよ」

素子と伸子とは思わず顔を見合わせた。瀬川の着眼を肯定しなければならないように現れている自分を、素子は、自分であきれたように、

「ほんとうだ」

とつぶやいた。そして、すこし顔を赧らめた。

「ぶこちゃん、どうしたのさ」

「わたし?」

伸子は、何と説明したらこの気持がわかって貰えるかと、困ったようにほほ笑んだ。

「――つまり、こうなのよ」

その返事をきいてみんな陽気に笑った。素子が議論していることや、秋山の答えぶりの要領よさについて、伸子は決して無関心なのではなかった。むしろ、鋭く注意してきいていた。けれども、劇場でうけてきた深い感覚的な印象のなかから、素子のようにぬけ出すことが伸子の気質にとっては不可能だった。伸子の感覚のなかには、云ってみれば今朝から観たこと、感じたことがいっぱいになっていて、粉雪の降るモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の街の風景さえ、朝の雪、さては夜の芝居がえりの雪景色と、景色そのまま、まざまざと感覚されているのだった。