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じゃしゅうもん
邪宗門
線上閱讀芥川 竜之介《邪宗門(じゃしゅうもん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 40,184 字 · 79 頁
金剛邪禅の法を修したとは、とりも直さず御坊の事じゃ。」
勝ち誇ったあの沙門は、思わずどっと鬨をつくった人々の声を圧しながら、高らかにこう罵りました。その声を浴びた横川の僧都が、どんなに御悄れなすったか、それは別段とり立てて申すまでもございますまい。もしもあの時御弟子たちが、先を争いながら進みよって、介抱しなかったと致しましたら、恐らく満足には元の廊へも帰られなかった事でございましょう。その間に摩利信乃法師は、いよいよ誇らしげに胸を反らせて、
「横川の僧都は、今天が下に法誉無上の大和尚と承わったが、この法師の眼から見れば、天上皇帝の照覧を昏まし奉って、妄に鬼神を使役する、云おうようない火宅僧じゃ。されば仏菩薩は妖魔の類、釈教は堕獄の業因と申したが、摩利信乃法師一人の誤りか。さもあらばあれ、まだこの上にもわが摩利の法門へ帰依しょうと思立たれずば、元より僧俗の嫌いはない。何人なりともこの場において、天上皇帝の御威徳を目のあたりに試みられい。」と、八方を睨みながら申しました。
その時、また東の廊に当って、
「応。」と、涼しく答えますと、御装束の姿もあたりを払って、悠然と御庭へ御下りになりましたのは、別人でもない堀川の若殿様でございます。