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ぶくぶくながながひのめこぞう
鈴木三重吉童話集
鈴木 三重吉
線上閱讀鈴木 三重吉《鈴木三重吉童話集(ぶくぶくながながひのめこぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 58,287 字 · 119 頁
その一角には、地震でこわれかけた家々が、いる人もなく立ちのこっています。その家々へ火がついたら、すぐに病院へもえうつるわけです。婦人はそれを考えて、そこらへにげて来ている人たちをはげまし、綱なぞをあつめて来て、それでもって、みんなと一しょに、今言った家々をたおしておいて立ちのいたと言われています。あんのごとく火はちょうど、そこのところまで来てとまりました。
つぎには、これは築地の、市の施療院でのことですが、その病院では、当番の鈴木、上与那原両海軍軍医少佐以下の沈着なしょちで、火が来るまえに、看護婦たちにたん架をかつがせなどして、すべての患者を裏手のうめ立て地なぞへうつしておいたのですが、同夜八時ごろには病院も焼け落ち、十一時半には構内にある第一火薬庫がばく発し、第二火薬庫もあやうくなりました。それで、患者たち一同を、川向うの浜離宮へうつす外にはみちもなくなりました。川は、ちょうどひき潮ですさまじい濁流がごうごうとうずまき、たぎっています。勇敢な高橋事務員は、その中へ決然一人でとびこんで、ようやく、向うの岸にひなんしていた船にたどりつき、船頭たちに、患者をはこんでくれるようにと、こんこんとたのみましたが、船頭はいやがって、がんとしておうじてくれません。